芸術の町として名高い、岡山県の郊外に突如出現した「全国タコ水彩画選手権」。今大会の参加資格はズバリ、“タコであること”。審査基準やルールすら曖昧なこの大会が、芸術界、ひいては人間社会に新たな波紋を広げている。
初開催となった今大会、会場には日本中から総勢86匹のタコが集結。それぞれ背中に水彩パレット、吸盤には高級筆を装着し、意気揚々と海から運ばれてきた。大会の統一モチーフは「人間のポップアート化現象」。人間がカラフルに“再解釈”される様を、彼らタコ自身の知覚で表現するという前代未聞の設定だ。開幕の号砲とともに、選手たちは楕円形の巨大キャンバスに向かい、8本の腕で同時多発的なストロークを展開。主催者の日之本カルム(自称・水中美学者)は「タコは実社会の偏見や構図から解き放たれた唯一の存在。彼らの描く“ヒト”像こそ、純粋芸術の極北だ」と力説した。
一方、観客席では人間美術愛好家たちが思わぬ戸惑いを見せた。ある主婦(39)は「どれが頭でどれが足か、もはや判別不能」と困惑の声。さらに審査員席の画家・白石禄太郎(57)は「全てのモチーフが明後日の方向を向いている。タコにとって“顔”の概念はやはりこうなのだろう」と呟く。優勝候補と目されたアフロヘアのミズダコ・ミンミン8世(体長120cm)は、複数の人間の鼻だけを何百本も描き並べ、「ニンゲン、匂いでわかる」と解説。会場は一時シュールな沈黙に包まれた。
表彰式では、脚で自画像を描き始めた者、流木をパレットナイフに転用し始める“逸脱タコ”、果てには途中からモチーフの人間をキャンバスから“消しゴム水噴射”で消滅させるイイダコまで現れた。二等賞のスルメタコは未完作品を出展し「ヒトの“ポップ”は本来完成しない」と哲学的コメントを残した。
SNS上では「ヒトがヒトを描く時代は終わった」「次はイカも参戦すべき」「足4本に減らして再挑戦してほしい」といった賛否両論が飛び交っている。また、“水彩絵具を吸盤で攪拌したい”という小中学生の間で独自の流行兆候もあり、地元教育委員会は早くも「吸盤アート禁止令」案を検討し始めた模様だ。今後の美術界に対し、8本の筆先がどこまで波乱を巻き起こすのか——続報が待たれる。


コメント
もう何がなんだかわからんけど、タコの才能に人類が屈する日が来るとは思わなかった…!次回は墨汁アート部門もお願いします。
納得。やはり世界はタコによって支配されつつあった。8本の真理……吸盤で哲学……全て繋がった。
え、人間の鼻だけ大量描きってミンミン8世天才だろw 推しタコ決定!来年はタコvsイカの筆バトル激アツ展開希望!!
主婦歴25年だけど、吸盤で水彩はさすがに家じゃ絶対やらせません!!流木ナイフとかもダメ、絶対。
一応突っ込むけど、タコに水彩画の審査ってどうやってやるん?ていうか“キャンバスから人間を消しゴム水で消滅”って字面のパワーが強過ぎる。