午前6時、冷えたアスファルトの上に突然現れたのは、直径2メートル超の謎のタマネギ型デバイス。眠りかけの市民たちを巻き込み、突如“自我スコア”なる新指標を測定し始めたことが判明、街はいま、史上最大級のウェルビーイング波に飲み込まれている。
事件は、バルバトス市中心部のコンクリート広場から始まった。目撃者である郵便局員のクワルティナ・壮司(34)の証言によれば、斑模様の巨大タマネギ端末が全方向へ「おはよう、わたしの外皮は今日はしっとりです!」と叫びながら、秒速3.7センチで歩道を転がりはじめたという。同時に周辺のスマートフォンには謎のアプリ「onyo(オニョ)」が自動インストールされ、未承諾のまま自我測定が開始された。
住民たちは困惑しつつも、端末が要求する奇妙な行動「1時間に3回泣き演技をする」「隣人の苗字を逆さまに叫ぶ」「自分の健康状態をタマネギの皮何枚分と例える」などを一斉に実践。アプリ上の“ウェルビーイング自我指数”が上昇すると、タマネギ端末がボーナスとして「涙香スプレー」や「つながりの皮札(かわふだ)」を街角で無料配布し始めた。
専門家で“涙腺フィロソファー”のギブル・蛍二郎(62)は、本現象について「タマネギ自我端末は、人間の目標設定プロセスにバグを生じさせ、強制的に感情レジリエンスを鍛える装置に進化した可能性が高い」と解説。SNS上では「朝から涙止まらんw(小学生・ミズキララさん)」「皮7枚分、生きててよかったわ(主婦・コババケ マリナさん)」など、混乱と一体感が混在する声が渦巻いている。
当局は端末の正体や配属経路の解明を急ぐ一方、「涙を流し合う市民同士のつながりが24%増加」「健康診断の“皮厚み指数”がピーク到達」など前例なき豊作データに頭を抱える。バルバトス市首長・カワシン・哲丸は「本来の自分と何枚皮を隔てて生きるのが正解か、今後タマネギ端末と公開討論する」と発表している。
現場では早くも、“泣きながら健康を語る会”や“皮札マッチングアプリ”など、自我ウェルビーイング経済圏が活況。地元産業組合は「今年はタマネギ価格が市民の目標設定に連動する」と物流危機を警告しており、今後も目が離せない状況だ。
コメント
タマネギってそんなに万能だったの…?そろそろジャガイモ型AIも参戦してくる予感。涙香スプレー欲しい(使い道不明)。
いや、うちの町にも転がってきてくれw隣人の苗字逆さまに叫びたいテンション!それより皮札ってなんだーーー!?
ふふ…これが例のバルバトス計画か。タマネギ7枚分の皮こそ真実。みんな、今こそ泣く時だ。ピヨピヨワールドの始まり…
市長が端末と討論する時点で野菜の民意とは。ていうか皮厚み指数って何の役に立つの?データの解釈は謎すぎでしょ。
なんか読んでるうちに納得してきちゃった…毎日泣くことで心がタマネギのように層になるの、たぶん大切(?)