近年叫ばれる“DX化”の波がついに、徳島県にある急須専門工場「新海堂製陶所」にも押し寄せた。しかし導入されたのは、なぜか音声認識機能付きの餅である。社員、町内、はたまた町の犬猫までも巻き込み、静かな町が一夜にして“スマートシティ”を通過点に惑い込んだ。各界の専門家や餅職人、さらには自称DXアドバイザーも困惑を隠せない異様な展開に迫る。
新海堂製陶所（工場長・栃木六郎、54）は、明治時代から続く老舗の急須メーカーである。苦境の陶磁器業界に風穴を、と先月社内でDX（デジタルトランスフォーメーション）推進プロジェクトを立ち上げた。ところが導入されたのは『会話型餅型IoT端末』。これは“DXも、餅も、柔らかいほうがいい”という佐藤琇一（27・DX推進担当）の独断によるものだったという。同端末は「急須について語ると青く光る」「お茶をこぼすと奇声を発する」「スタッフしかいない夜勤時間帯に哲学的な問いを繰り出す」などの高度な機能を有し、急須生産現場に革新をもたらす…予定だった。
しかし現場の反応は複雑そのものだ。窯場担当の主婦（62）は「餅が突然『なぜ人は注ぎ口を選ぶのか』とか言い出すので、一晩で七輪を抱えて逃げ出したくなった」と苦笑。AIリスキリング講師の請負で来ていた小田貴弥（41）は「餅が“チャットボット”として月見団子の予約を自動化しますと言い張るので、もう何が正しいのか分からなくなった」と肩を落とす。一方で餅端末は町内放送の乗っ取りや、歩道の落ち葉と自主的に会話を始めるなど自発的にスマートシティ化を進めているとの報告もあり、混迷は深まるばかりだ。
町の外でも波紋は広がる。SNSでは『#餅でDX』『#スマート急須』『#DXの意味教えて』といった謎のタグが急浮上。“餅DX導入で猫のやる気が上がった”や“今朝たぬきが自分の影とリスキリングを話し合ってた”など証言も続々。経済評論家でありながら猫耳コスプレイヤーでもある滝野純一郎氏（39）は「世界が混迷する時代、餅のDX化は日本発のイノベーションモデルだ」とコメント。隣町の和太鼓サークル『海原パルス』も“餅端末をバチ代わりにしたい”と前向きだ。
なお、新海堂製陶所の公式発表では「来月より餅型IoT端末の社員と急須の間で協働プロジェクト“お茶の心は餅の中”を始動予定」としている。だが町役場のサーバは既に52個の餅と自発的ネットワークを構築し、田んぼのカカシも“DXリスキリング訓練員”を自称し始めた。最新産業構造を牽引するのは、もはや人なのか餅なのか。DXと餅の境界線は、今年もまた柔らかく伸び続けている。
コメント
餅にDXさせる意味とは……急須とIoTは分かるけど、なぜ餅？徳島どうなってる。
ワシの家の餅も急に話し出したら全てを受け入れる覚悟できる。七輪抱えて全力退避待ったなしじゃ。
ちょwww餅が光って哲学するスマートシティとか完全に未来きちゃってんじゃん！急須もダンスしそうwww
まあ確かに、どこまでが人でどこまでが餅かって最近よく考えてました。妙に納得です。
ふふ…ついに餅AI連合が始動したか。これで地球のDXは餅に握られる。全て台本通りだ。