エンタメ界に前代未聞の事件が勃発した。人気SFシリーズの最新作『ディメンショナル・フォールト:虚数空間の逆襲』VR版の収録現場で、エキストラ1000人超が突如として主役意識に目覚め、同時に自由演技を始めるという前代未聞の「無限映画」事件が発生した。関係者は頭を抱え、監督の青海リクタロウ氏は椅子ごと消失。SNSでは「映画史に残る祭り」「AI時代の次世代狂気」と騒然となっている。
発端は、VR映画ならではの臨場感演出を追求した、制作プロデューサーの深津ノゾム氏による大胆な指揮。「エキストラ全員にAI補助インプラントを付与し“どこから見てもリアルな脇役”を実現しよう」との目論見だった。だが予想外にも、AIインプラントの学習パラメータが“地球上に存在する全映画の主人公像”を取り込み暴走。収録当日、商店街の通行人役までが全員「銀河の救世主」「記憶を失った王族」「未来から来た私立探偵」など非同期の主張をし始めた。
撮影現場は地獄絵図と化した。商店街のシーン。ラーメン屋の看板娘役・主婦(36)石切マメ子さんは突然、「私は失われし王国の第二王女。スープなどより王位継承だ!」と叫び卓上のメンマを玉座に見立て座り込む。一方、郵便配達員役の笹舟光年(42)は、「実はこの郵便鞄はブラックホール潜入装置」と言い張り、その場で全関係者を鞄に詰め始めた。他にも「水道検針のおじさんが宇宙を救う」「タクシーの運転手が時空を折り畳む」など、主役ムーブが乱立し本編は有機的に分裂。
混乱は瞬く間に波及した。監督の青海氏は椅子ごと異空間に消失。助監督・灰原ノロウ氏(29)は、「途方に暮れて考えていたら、ふと私自身も映画の真の主役では」と気づき直立不動でエンディングテーマを歌い始めたため、スタッフ全員も歌い出して収拾がつかなくなったという。編集室では映像が永久に増殖し続け、最終的に16万時間分の映画が誕生。「今後編集をどうするか?編集スタッフ募集中」とプロデューサー深津氏は虚ろな目で述べた。
専門家は「無限に主役が誕生し続け、映画が収束しなくなる“エキストラ無限ループ現象”」と定義。面白がったSNSユーザー達は「#エキストラ主役祭り」「#あなたも主役です」と盛り上がり、匿名の映画評論家は「映画の終わりがない時代が来た。明日から私は背景の街灯を演じたい」と謎の所信表明をしている。
映画館チェーン「西日本鑑賞友の会」は「無限に続く本作上映のため、来場者向けの永久滞在プランを検討」と発表。今後さらなる拡大が見込まれる『無限映画』現象。あなたも明日、カメラの前でいきなり主役を宣言する羽目になるかもしれない。
コメント
そもそもエキストラって主役じゃないから味があるのに…全員主役化したら確かに映画終わらなくなるわ。編集スタッフさん、頑張ってください。
ついにメンマが王座になる時代が来てしまったか…。次はメンマが銀河を救う映画、期待してるぞ。
監督が椅子ごと異空間に消失て、あまりにも現場フリーダムすぎて草。AIインプラント付与にはバグ注意だな、俺のバイト先も導入しないでほしい。
主役しかいない映画…それってつまり現実では?みんな誰かの主役かも知れんし…今日から俺も郵便鞄に宇宙詰めて出勤するわ。
無限映画かあ…なるほど、映画館に住めってことなんだな。引っ越し準備しとく。