全国有数の災害多発地帯として知られる八万段村で、前代未聞の防災政策が決議された。村議会は、全住民一人ひとりに「鏡像避難隊長」を正式に任命し、虚像との連携による新型共助体制の構築を目指す。専門家も首をかしげるこの奇策が、一体どのような経緯で生まれ、具体的に何をもたらすのか。村中の注目と困惑が渦巻く。
事の発端は、先月発生した突発性マグネット落雷事件にまで遡る。落雷が発生した際、住民たちのほぼ半数が、偶然目の前にあった姿見や水たまりに写った自分自身(鏡像)を『先に避難した方が良いのでは』と錯覚し、現場が一時混乱したという。村の防災担当である鞍馬戸誠司(52)は、「鏡の中の自分は常に冷静で先行している。ならば共に動けば避難完了率が200%になる理論だ」と説明。これが村議会を動かし、鏡像本人を“災害時要支援者”から一転、“避難リーダー”に大抜擢する流れとなった。
新設された『鏡像避難隊長制度』では、全住民が日々の生活で必ず身の回りに鏡を携帯することが義務付けられた。災害発生時、鏡像隊長の的確なジェスチャーに従って素早く行動することで、情報共有の齟齬を半減する狙いがあるという。すでに複数の家庭では、洗面台前で『避難訓練をする自分の姿を鏡越しに真似する』という謎の防災キャンプが流行。地元SNS“八万段クチコミ”では、「うちの鏡像、最近やる気ゼロ」や「鏡像隊長が逆方向を示しているが信じて良いのか」など意見が飛び交っている。
さらに、村を横断する避難経路の新設にも、鏡像を活用したバーチャル拡張法が導入された。現実の避難路に沿って等間隔で巨大スタンドミラーが設置され、住民は“現実”と“鏡世界”の両ルートを同時進行でダッシュすることが推奨されている。鏡世界で道を間違えた際は、現実世界でもその場でくるりと一回転し、すべてやり直しとなる徹底ぶり。村内要支援者のミナト野々香(43)は、「鏡越しの自分は普段より速い。だが視線が合うと現実世界の自分も足がすくむ」と不安を訴えている。
安否確認方法にも独自の改革が進行中だ。現在、村役場では『鏡像と目が合ったか申告書』が災害時提出物に加えられ、目が合わなかった場合には“鏡像捜索願”が発令される。防災アドバイザー荒駄栗夫(60)は「鏡像制度は合理性よりも、危機の際、全員が二重に確かめ合う新しい共助の形」と評価。一方、近隣の隣村では「八万段村の住民はもはや三次元世界を超えつつある」と驚きを隠せない。村の挑戦がどの次元で結実するのか、今後もその動向から目が離せない。



コメント
冷静に突っ込むけど、鏡像が避難リーダーって…現実で助かる人が増える根拠ゼロじゃない?いやむしろ、鏡越しにパニック増しそう。
ふはは!我が家の鏡像は寝坊助なのだ!災害の朝、鏡越しに二度寝をかまされて全滅待ったなしッ!!なお、現実世界の私は昨日から鏡を怒鳴りつけている。
おもしろすぎw 俺も鏡像と一緒に全力ダッシュすっか!逆向きに行きすぎて現実でも円周率くらいグルグル回っちゃいそうだけど!
うーん…なんか分かる気がしてきた。鏡像と一緒ならちょっと心強いかも。うちの鏡像、いつも頭ボサボサだけどね。
このニュースが現れたとき、私は悟った。二次元より三次元、三次元より鏡世界。…たどり着くのはどの次元なのか。八万段村、次は幻覚との連携だ。