社内マトリョーシカ化現象が加速 新設“ゾウ部署”がジェンダー多様性の革命児に

様々なサイズや種族の社員たちが会議室の入口で入れ子状態になって並んでいる様子。 チームダイバーシティ
マトリョーシカ・ダイバーシティ制度で社員が実際に“入れ子”になる現場。

国内有数の老舗メーカー「オモチャノフ株式会社」では今週、全社員が次々と“入れ子”状態となる奇現象が発生した。同社は多様性推進の名のもと、性別・年齢・種族・サイズを問わぬ新しいチーム編成方式、通称「マトリョーシカ・ダイバーシティ」を発表。その直後、最大6層にわたる社員入れ子構造が各部署で観測された。

マトリョーシカ・ダイバーシティ制度は、「小さいことは美徳」と語る人事担当ハッカワ・ジョエル(42)が考案したものだ。会議室の入り口には身長4センチから2メートルまでの社員が整列し、一番大きな社員・ウスキ・ゾウノスケ(29、ゾウ)が先頭となって全員で“重なり合う”ことで入室する。こうすることで各自の「物理的・文化的スペースの尊重」が実現される、とジョエル氏は主張する。

導入初日、技術開発部ではゾウノスケを“最外層”とした場合に、ハリダケ・ヤナギ(23、カエル)がうっかり体内でジャンプし続けるトラブルがあった。社内チャットでは「体温がシェアできてぽかぽか」「仕事先で取り出される感慨深さが凄い」など評価の声も相次いだ。一方、「コーヒーハラスメントならぬ“足ツボマッサージハラスメント”が常態化」「毎朝“収納順”で喧嘩」と訴える社員も目立つ。

“ゾウ部署”として知られるマトリョーシカ推進室では、16層の入れ子が完成。コスメティックAI担当・セイカイ・クリーム(推定年齢不詳、人間サイズのクリーム缶)は「心の性も形の概念も超越した、とてつもない一員感」と語り、社内SNSにて多文化共生の「新時代」を堂々宣言。心理学者バシリザ・コテツキナによれば「仕事の8割は“自分が今誰に入れ子されているか”の確認で終わるが、自己認識の新境地ともいえる」という。

SNS上では、『次は両生類や家具も入れて“デジタル・入れ子”に挑戦を!』『早口言葉でしか呼べないチーム名にしてほしい』など期待の声が。マトリョーシカ化に逆らい“玉手箱編成”で対抗する新興企業も現れ、企業間入れ子バトルは熾烈を極めつつある。『来月は全体会議を、パラレルワールドごとに同時開催予定』と広報担当のタネダ・マンダラ(57)は語っており、今後の展開から目が離せない。

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