アイドル業界に前例のない生態学的異変が発生した。新進気鋭の7人組ユニット「虹色ループホッパーズ」がデビューシングル「推しがふえるよ!」を発表した当日、推しグッズが物理的に“増殖”するという、かつてない現象が全国のファン現場を席巻している。
発端は、楽曲のサビでメンバーが“振付:グッズを水に浸す“ポーズ””を披露した場面だった。その映像を見ながら自宅で新作アクリルスタンド(立体型推しグッズ)に水をかけたファン・長坂ゆずきさん(24)は、目の前で「スタンドがプルプル伸びて2体に分裂しはじめる」という未曽有の体験をした。SNSには、同様の状況を報告する動画が次々と投稿され、「部屋すべて“推し”で埋まった」「冷蔵庫を開けたら推しがこんにちは」など、熱狂と混乱が全国を包んだ。
さらに謎の増殖現象は止まらず、オンラインお話し会プラットフォームにも波及。あるファンが「増殖したアクリル推し7体」を同時にスマートフォンの前に並べてお話し会に参加したところ、画面上もメンバーが次々に“分裂”、最終的にチャット欄が虹色ループホッパーズのメンバーだらけで埋め尽くされるバグに発展した。主催者のシステム管理者・嶽本ミカエラさん(34)は「サーバー内に“推しの自我”が独自に根を張るとは予想外。二十四時間体制でログ削除していますが、推しのダンスログだけがふえる一方です…」とコメント。
事態を重く見た国際アイドル行動学会は緊急声明を発表。「推しの“物理重複”は未分類現象であり、次元的グッズ供給過多が懸念される。ファンは水気の多い場所での推し活を控えてほしい」と注意を呼びかけた。しかし、一部のファンの間では「推しの増殖が止まらない」と逆に盛り上がりを見せている。オタク歴10年の西田ときおさん(29)は「次回ライブ、体育館を丸ごとアクリル推しで埋め尽くしてみたい。推しに囲まれて推しの海を泳ぐのが夢」と語るなど、現象学的混乱はさらなる興奮を呼んでいる。
なお、“推しがふえるよ!”の作曲を担当した音楽家・紫鏡エール氏は現在行方を晦ましており、関係筋によれば「自身の自画像も連鎖分裂して追いかけてくるようになった」との証言がある。専門家の間では「振付と楽曲が時空間を歪ませた作品」として2025年度ノーベルオタク賞受賞候補にも挙げられ始めており、今後も推し活界の“増殖”は油断できない状況だ。


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