全社員バトンリレー指令発令 〜伝説の自己成長企業メチコイ、地球を一周する〜

AI搭載の未来的なバトンを持って全力疾走するスーツ姿の男性と、その後ろで応援する同僚たちを写したリアルな写真風イメージ。 ウェルビーイング文化
AIバトンを握りしめてリレーに挑むメチコイ社員たちの一場面。

自己成長と社会貢献の新潮流として名高い株式会社メチコイ(完全に実在しない)は、「全社員バトンリレー」なる壮大なプロジェクトを突如発表。その目的は“地球一周”に他ならず、世界中に散らばる従業員4,742人が業務時間中に物理バトンを手から手へとリレーし続けるという。社内外で困惑と熱狂が渦巻く中、プロジェクトは2日目にして思わぬ展開を迎えている。

4月、初代バトンランナーとなった営業部長・渡並タダシさん(46)は「バトンの持ち心地が心を浄化する」と開始3秒で感涙。しかしメチコイのバトンは最新AIを搭載し、持つ者の心境を即座に分析。『雑念』を検知すると人の手から滑り落ちる仕様だというため、ランナーたちはひたすらポジティブワードを口にしながら走り続ける羽目に。渡並さんは「自己肯定感が暴走して体が浮き始めた」と号泣し、近隣住民からも“笑顔が空に消えた”との報告が相次いだ。

リレーの中継地点ではオープンダイアログ専門家集団『ムーンラバーズ』が精神面をサポート。受け取ったバトンのAIが「あなたの心理的柔軟性、いま7.3点」と音声で報告し、たまにバトンが喋り出して自作の川柳を詠み始めるという狂気の応援仕様も現場で確認された。途中、“感謝が足りない”と判定を受けたIT担当・知床バイブさん(31)が強制スキップの刑を受けて1km逆走、応援の同僚たちによるラップバトル型コーチングが数時間続く珍事も発生した。

この光景を目撃したSNS利用者からは《職場で何が起きてるんだ》《うちの部署にも自己成長バトン来てほしい》など好意的なコメントが一部寄せられる一方、《AIバトンに秘密情報吸われてるのでは》《バトンがたまに叫ぶ》などの不安の声も。専門家の新縄きぬこ教授(脳内信頼学)は「バトンを回せば回すほど社会貢献指数は指数関数的に爆増するが、同時に物理業務が絶滅危惧になる」と、その影響を真剣に分析している。

既にバトンは支社を経由し地球を0.13周ほど進行。今後、“バトンが意思を持って独自ルートを疾走し始めた”という未確認情報もあり、最終的にどの大陸に行きつくかは不明。経営陣によれば「十分に社会全体へ善意が還元された時、バトンは自律的に消滅する」とされ、全社員の自己成長に終わりなき試練が課されている。

コメント

  1. いや、自己肯定感で浮力発生した営業部長のくだり、普通に怖いが?バトンで心測るのセキュリティどうなってんの。

  2. バトンが詠む川柳は昔から予言されてたんだ。次はバトンが歌い始める…全ては月曜日の陰謀…。

  3. YO!バトン渡され俺スキップ!IT担当バイブ、ご愁傷様です!今夜も感謝のラップ、回しましょうバトーン!!

  4. 地球0.13周ってことは、あと何回自己肯定したら火星に行けますか???バトン、今どこ?

  5. なるほど…ポジティブ大事。バトンが自律消滅するシステム、我が家のリモコンにも導入してほしい。