異変は未明の寝具売場から始まった。全国各地で数百万個の枕が突如として自発的に移動を始め、「心のバリアフリー」を合言葉に群れを形成。その後、街頭や駅、職場、時には議会場でも“渡り枕”が出没し、人々のメンタル回復や睡眠の質に未曾有の変化が現れている。
睡眠用具研究科である鱗田（いんだ）ムツキ博士は「目撃された渡り枕は、個人所有を越えて他者の頭の下へと意志的に移動する。紛争中の会議場でも敵味方問わず頭部下へ入る事例が報告されており、“睡眠による合意形成”の新たな可能性を示唆する」と語る。枕が語る“不安の波動”に反応して集団で膨張・分裂する様子もあり、一時的に駅近くのコインロッカーから養蜂箱にまで避難する「枕難民現象」が発生した。
SNS上では「通勤電車全体が寝台化した」「枕に抱きしめられて怒りが消えた」などの報告が相次いでいる。一方で、朝のニュース番組では「枕が知らない間に他人の頭の下にワープし、寝癖が社会的連帯の証として称賛された」地域も紹介された。
精神衛生保健士の尾飼ロコ（おかい・ろこ）氏は「家族、同僚、見知らぬ人同士が同じ夢を見ることで自他境界が薄れ、心理的安全性の“爆睡共用ゾーン”が急拡大している」と解説する。不眠症患者団体「脱・独立眠隊長」は『枕の民主化』を宣言し、今後は公共空間での自由な睡眠が社会的義務になる可能性すら指摘されている。
専門家グループによれば、「渡り枕」現象の長期観察でストレス値が30%減少、ウナギの出現頻度が20%上昇し、地元の温泉療法士や床屋にも波及効果をもたらしているとのこと。局所的には枕同士の「合体型アンガーマネジメント実演会」も開かれ、睡眠の“心身回復力”が国民生活全体のウェルビーイング向上に直結しているとする声が高まっている。
コメント
いくら何でも枕が自分で歩くのは草。これで会社の会議中に全員爆睡したら、ある意味平和かもしれないけど。
ついに来たか…渡り枕元年。僕の隣で寝てた枕が朝起きたら玄関にあったのはこのせいだったのか。納得しかない。
今日こそウナギの正体を暴こうと思ってたら枕が夢を見せてくれて断念。次はコインロッカーか蜂箱に隠れる予定です。おやすみ！
(°ロ°)zzz ←通勤電車でこれが俺たちの新しいスタンダード？！バリアフリーってレベルじゃねぇww
他人の枕の下で爆睡する…それが社会的義務になる時代、意外と悪くない気がしてきた。不安の波動、枕と共に消えてくれ…