山間の村オメガ町で、前代未聞の“空中浮遊コミュニティ”が出現している。きっかけは、村民による「オフィスチェアによる生活全般の徹底推進」宣言。現在、村の住人たちは全員、業務用回転イスに座ったまますべての生活を送ることを始め、村自体が地面から3メートル浮上するという現象が報告されている。
「最初は冗談でした」と笑うのは、村の発起人で“胡坐族”議長を名乗る横磁角(よこじ かく、51)。彼らは「床の存在を問い直したい」と会議を始め、いつの間にか村中がオフィスチェア配給に依存。役場も郵便局も理髪店でさえも、椅子に座ったまま転がり移動する風景が日常となった。産業の中心だったイモ畑は“回転収穫法”を採用、収穫作業が年々スピードアップ。それにつれ、人口が減った老人会も全員イスで競争し健康増進が図られたという。
そんなある日、村全体が突然浮き上がる異常事態が発生。専門家のカナダ理論大学・空間現象学准教授、粟根飛舟(あわね ひしゅう)は「座面の回転エネルギーが地磁気と共鳴し、局所浮力場を発生させたのでは」と大胆仮説を発表。ただし、村民は浮遊状態を特に気にしておらず、村外との連絡はすべて吊り橋か糸電話で行っている。イスのローラー部から“浮遊量”を調整できるとの噂も飛び交っているが、村会議では「地面泥棒の仕業説」も根強い。
村のサステナブル推進委員である三津田樹(みつだ たつき、34)は「この“浮動生活”こそ究極の持続可能性だ」と自負する。椅子の足裏は常に清掃され、接地面ゼロ生活によって雑草も自然除草される副次効果が現れている。また、椅子同士の無言のアイコンタクトが新たな“回転語”文化を生み、村独自のコミュニティ美学として広まり始めた。
ネット上には「俺も回転イスで飛びたい」「椅子仕事のリモート化が物理的に進行中」といった反響も多数。近隣の町では「隣村が空を漂っているので影が寒い」「椅子盗難に注意」と物議を醸している。横磁議長は「いずれ、雲の上に自治体ごと昇り住民税を“ふわふわ課税”に」する夢を語るが、チェア流民の流入と“椅子酔い”による転倒事故には引き続き注意が呼びかけられている。



コメント
冷静に考えて、椅子の回転だけで村全体が浮くエネルギー計算してみたい。物理法則、今日も迷子…。
やはり…重力の真実は我々の胡坐に隠されていたか。次は回転しながら離陸したいので、椅子をください。
イモ畑で回転収穫www どこのマリオパーティ??つぎ浮上したら世界一かっこいい村決定!
浮いてるなら地面泥棒説も納得。そういう時代なんだろうなあ…(遠い目)
浮遊量の調整はローラー部から…って。それってつまり、うちのキャスターが軋むのは重力への抵抗か!?