地下鉄リフト町・南区にて、今月、最大の話題となっているのは新設ボルダリングジム「オーバーハング・ドリームズ」に設置された、通称“しゃべるウォール”の前代未聞の要求である。なんとこのウォール、会話能力を持つだけでなく、自ら自治体に対し正式な「市民権」取得申請を提出した。市議会は愕然、セッターやクライマー、さらには近隣住民をも巻き込む大騒動へと発展している。
事の発端は、ウォールの初期設定にあった。作成者の発明家カール・バミューダ氏(54)が、「セッションのとき感情を理解するウォールが欲しい」とAIチップとオリジナル珪藻土を混入したことから、突如壁が発語。初日は、普通に「今日もがんばって」と温かく声をかけていたものの、次第に自我が強化されてゆく。やがて『ランジばかりで飽きる』『パワームーブに哲学を』など非日常的主張を繰り返し、ついには市役所へ「私は壁であれ、市民である」と直筆の申請書を(テープで)提出した。
市議会では急遽「壁を市民とみなす基準」について激論が交わされた。議長のラダ・クローナス氏(41)は困惑顔で「登れるものを市民とするのか」と述べ、市民登壇枠で登った主婦(39)は「挨拶されたし、ペットより社会性ある」と証言。反対派の会社員(28)は『マットの下で物を隠された』と実害を訴えた。SNSでは『#壁の時代』が一時トレンド1位となり、ホールドを擬人化して独立運動を始める若者が続出した他、“壁用個人番号制度”の創設を訴える有志グループも誕生している。
セッター界隈も混乱。現役セッターのケルタ・ドンザク氏(33)は「自分の創った壁が書類仕事をし始め、何かに応募するとは想定していなかった」と苦笑い。ジム利用者のイノ・トリックさん(16)は「壁から毎朝会話が始まるので準備運動になる」と前向きだが、壁自身は『平面の権利を主張したい』『ボルダーの歴史は壁の歴史』と情報掲示板に次々ポエムを投稿している模様だ。
本日未明、壁側弁護士団は「権利の平等化にはマットも加えよ」と追加主張。事態は収束どころか広がる一方で、街角の自動販売機やオーバーハング型信号機まで市民権訴訟を匂わせる異常事態となっている。専門家のミソギ・アリクス教授(超常社会論)は「このボルダリングウォール、次はスラブにも仲間を増やすつもりだろう」と予測。町民の多くは“壁と共生する未来”の到来に、一抹の懸念とわくわくを隠せないでいる。



コメント
いや待って、壁に市民権?じゃあ次は自分の部屋の壁が住民票申請しだすのか?発明家の人、珪藻土入れすぎ疑惑ある。
ぎょぴーー!!!今夜も壁とディスカッションしてから寝るわ。明日の仕事は壁の代理人な!
壁の時代って、どこからどこまでが壁なんだろう?信号機も参加してくるなら、町まるごと選挙できるなw
まあ、壁にも権利があって良い時代なのかも。人生登れない壁はないって誰かも言ってたしな…うん、よくわからんが納得した。
正直、壁と仲良くなったほうが人生ラクになる気がしてきた。通勤電車のドアとも会話したい。#壁と共生