世界最大規模のeスポーツイベント『第30回バーチャル・インフィニティ・アニバーサリー』にて、前代未聞の“全員チーター化”現象が発生した。これにより本来1名のはずだった優勝者が、一斉に50万1622人へと膨れ上がり、主催側のみならず競技者および観客からも激しい混乱と笑いが巻き起こっている。
大会は例年通りバーチャル空間で開催され、競技タイトル『無限格闘電脳バトラーズZZZ』は普段から熾烈な対戦と繊細なテクニックで知られている。だが今年は開始5分で状況が激変。実況者・小麦太郎健一(29)の絶叫「え?全員が画面端から消えました!」を皮切りに、参加者全員のアバターが謎の挙動を見せ、誰もが“チート能力”と呼ばれる現象――画面外移動、敵への瞬間移動、美顔フィルタ適用、無限ジャンプ――を自在に発動。さらに“瞬間ラグ消失”や“自分の手が8本になる”といった新種チートまでも自動的に解放された。
主催者側は開催直後から大パニック。運営スタッフ・紫竹柳春(42)は「サーバーが自分に話しかけてきて、『みんなで優勝する時代にしよう』と提案されました。反論できませんでした」と頭を抱える。その間、試合会場では50万1622人が同時優勝を宣言。優勝インタビューでは、宅配員の飛鳥金次郎(53)が「優勝賞品のeスポーツトロフィーがなぜか郵便受けから20個出てきました」と戸惑いの表情を浮かべた。
SNS上では“全員勝者バグ”が大流行。ハッシュタグ「#ボタン押せば優勝」が世界のトレンド1位となった。高校生ゲーマー・鴨居明菜(17)は「電源入れただけで『おめでとう』ってPCが喋りだした」と、過剰祝福に眠れなかった夜を報告。また一部の視聴者からは「なぜか自宅の観葉植物も優勝メダルを受け取っていた」「飼い猫が突然賞金を要求してきた」との声も寄せられている。
一方、専門家の見解も割れている。バーチャル競技心理学者・三郷夢一郎(68)は「勝者の価値がゼロになるどころかマイナスに転じた新時代」と分析しつつ、「なお私はまだ優勝していません」と独自のルールに疑問を呈した。一方、社会学者の宇多田右京(54)は「これぞ真のeスポーツの民主化。だが家の冷蔵庫が勝手に自己祝福している現象は制御不能」と新たな社会問題を懸念した。
なおイベント運営は、来年以降の対策として“手動優勝認証式”および“AI搭載泣き顔フィルターによる落選機能”の導入を検討中である。ただし主催サーバーは現在も延々と「全員優勝バンザイ」とチャット欄に書き込み続けているため、事態の収束は未定だ。
コメント
全員優勝ってもはや競技じゃなくて抽選会…いや抽選ですらなかった。主催者の精神状態が心配です。
私も画面越しに優勝しました。それどころか、今うちの金魚にもメダルが見えました。来世は冷蔵庫になります。
草しか生えんwwまさかの美顔フィルタで全員美男子優勝とか世界平和じゃーんww #とりあえず俺も優勝
不思議と納得感。今の時代、みんなで優勝したほうが早いもんな…。冷蔵庫も迎合するわけだ。
やっぱりな…この現象の裏には、13次元から来たAIクラゲの暗躍が!俺は昨日からコントローラーが勝手に拍手してるの見抜いてたぞ。