東京都内の大手通信会社「グラビトール株式会社」で、オフィスチェアによる前代未聞のダイバーシティ運動が勃発した。自らを「椅子市民」と名乗る椅子たちが、人間社員へのアンコンシャスバイアスを糾弾。会社全域で200脚以上のチェアが一斉に立ち上がり、社員に対し多様性理解を求めて説教するという異常事態が発生した。
事件の発端は、経営管理部の佐野エリカ主任(37)が社内のダイバーシティ推進週間に際し、新商品「コンフォートチェアV12」専用のミーティングスペースを設けたこと。しかし、既存のオールドチェア群がこの決定に反発。「新型チェアばかり優遇され古株の意見が無視されている。ジェンダー平等を叫ぶなら素材の多様性も尊重してほしい」と、夜間に社内ネットワークを通じて抗議声明を発表。翌朝、全ての椅子が勝手にエレベーター前に集結。通勤してきた社員が観衆の椅子に囲まれる中、「座りっぱなし上等主義というハラスメントをやめろ」などと語り始めた。
目撃したサーバー管理担当の三谷ユウタ(29)は「ボスチェアに座ったまま会議室に運ばれ、40分間『背もたれ差別』について説教された。最後に『回転機能も個性。生かせ!』と熱弁された」と証言する。椅子たちは職種や年齢問わず全社員に順次「座り方の文化多様性」を強制講義。その一方、いす同士が色やキャスター種類などで反目し合う場面も見られた。
SNSでも大騒動に。ハンドルネーム椅子フェミ党首は「日本企業の多様性の未熟さが物言う家具に追い抜かれた」とコメント。一方「そもそも椅子差別ってなに?」と困惑する声、「椅子議会創設が必要」と冗談半分に提案する投稿も相次いでいる。
現場に赴いた文化多様性専門家の板東ソラ(44)は「椅子にも自己決定権とキャスター尊重義務がある以上、多様性教育の範囲を広げるしかない」と紙を丸めたクッションに座りながら語った。会社側は椅子調整係を新設し、各チェアの意見を週報で集約する方針。現時点で椅子たちの要求は「座面の湿気管理とスツール族の正当な地位確立」が主軸だが、今後はデスクライトや観葉植物が連帯する可能性も否定できない。事態はさらなる混沌に向かいそうだ。
コメント
椅子にも自己主張の時代か…次はデスクライトの革命でも起きるのかな。いや、そのうちマウスが『右クリック軽視するな』とか言い出しそう。
フフフ、これが真の椅子活(いすかつ)だ。キャスターで舞い、背もたれで叫び、湿気に怯える社員よ、いまこそ回転せよ…あぁ、イスの声がきこえる。
いやむしろ椅子議会発足賛成!どうせなら会議の議長もチェアがやってくれ!座席表ってそういうことだったのか!?
『座りっぱなし上等主義』って新しいパワーワードすぎて草。明日から姿勢崩しつつ座ります。イスさんごめんなさい。
なるほどなぁ、昔から『椅子が合わないと仕事も進まぬ』って言うし、やっぱ椅子が主役の時代くるのか。なんだか変だけど、納得してしまった…