新進気鋭のファッション週で、今季最大の驚きが生まれた。「完全透明スーツ」の発表である。表参道にある架空の高級ブランド「FUSEREVE(フゼレーヴ)」の新作コレクションでは、まるで存在しない衣服を“着ている”かのような透明度99.9%のスーツがランウェイを席巻した。観客の視線が足元で迷子になる中、「着用者本人にも透明度が高すぎて幻覚が現れる」との声が響いた。ファッション、ついにここまで来たのか──。SNS上は“実在と非実在”のあわいで大混乱している。
ファッション業界関係者の間では、この透明スーツの素材にも注目が集まっている。新素材「ナンデモニウム」は、空気より軽く水より硬いとうたわれ、生地の厚みは電子顕微鏡でも観測不能という。本作を製作したデザイナー、若林ルミオ氏(38)は「服そのものを“精神的な存在”にしたかった。クラゲの透明さが私に降臨した」と意味深なコメント。一部観客からは「“意識”にだけまとわりつくスーツ」と形容される一方、「家に帰ったら犬がスーツに気づかず突進した」との報告も。透明スーツ愛用者の一人、会社員・無量野タクトさん(51)は「上司に“全裸出勤か”と怒号を飛ばされたが、私は確かにスーツを着ていた。自分にも見えなかっただけだ」と証言する。
話題のアイテムは、同時に“アクセサリー革命”も引き起こしている。合わせるべきは見えないポケット時計、無音化したサイレントネクタイ、手にそっと握るだけの“存在しないカフス”など。百貨店には「見えないアクセサリーコーナー」が登場したが、品を持ち帰った客が「レジ袋だけ持ち帰ってしまった」や「自宅のどこに飾ったのか分からない」と困惑する姿が絶えない。インフルエンサーの野篠パッセリさん(自称ファッション番長)は、“空気よりもオシャレな時代到来!”とのコメントとともに透過率100%の自撮り写真をアップしたが、写真には誰も映っていなかった。
透明スーツについて否定的な意見も根強い。ファッション批評家の波松グレゴリオ氏(56)は「究極の見えざるオシャレは哲学的だが、着座で皺ができていないのに気づけない点や、街中で『服を選ぶ権利』が市民から奪われた気分になる」と指摘。新潟県燕市では、透明スーツ集団による“全員参加型かくれんぼ大会”が開催され、近隣住民が20時間にわたり家の中を捜索するトラブルが発生したという。
一方で、精神科医の美土里ヴォイス氏(44)は「多くの現代人が抱える“存在感の悩み”とのシンクロを感じる。今後、『透明になれる』こと自体が承認欲求の新たな発露になるだろう」と分析。今春、国内外で透明スーツ文化が広がる中、次は「実体のないマント」や「消えていく帽子」など、“うっかり存在し忘れてしまう服”が新たなブームを呼びそうだ。
コメント
透明度99.9%って、もうほぼ着てないじゃん!幻覚現象って副作用つきの服はさすがに攻めすぎでは?笑
私も透明スーツを手に入れましたが、郵送されてきた箱の中が空っぽでした。完全体です。次元が違います。
逆に全裸で堂々歩ける時代キター!これぞ真のファッション革命www次は透明マスク頼む!!
なるほど、存在しない服…この世はすべて概念…。俺たちも透明だったのかもしれないね。
見えないカフス付けて電車に乗ったら、隣の人にも気づかれなかった。僕の存在感もスーツ基準になった気がする(泣)