ついに常識の限界を突破する美術館が誕生した──。茨城県某所、住宅街のど真ん中に突如オープンした「透明なる混沌美術館」が、現代アート界と周辺住民の脳内に多大な衝撃を与えている。最大の特徴は、展示作品がすべて“完全に見えない”こと。来館者は扉をくぐった瞬間から既に「不可視の芸術空間」に放り込まれる。
施設設立者で自称“逆方向芸術家”の八角家(やすみ・つつじ、47)は、「可視化されぬものこそがアートの可能性」と豪語。展示室には「見えない油絵300点」「無音のサウンドアート」「触っても手応えゼロの立体作品」などが所狭しと“並んでいる”らしいが、実際にそれを目撃した来館者はいなかった。八角家館長の説明によると、「基本的に展示作品の存在は量子力学的確率でしか保証されない」。入口の案内板には「うっかり踏まないでください」という警告文も、鮮やかな透明インクで何も書かれていない看板に印刷されているという徹底ぶりだ。
オープン初日、午前9時の開館と同時に50人が列を作って突撃。小林山葵さん(美術愛好家、31)は「何も見えなさすぎて逆に感動した。途中から自分自身が見えないアートなのではと混乱し始め、気づけば壁に頭をぶつけていた。その壁もたぶん存在していなかった」と興奮気味。ところが、閉館時間になっても来館者たちは誰一人として出口を見つけられず、全員が館内の“見えない迷路”で迷子となった。スタッフを名乗る謎の人物(性別不明、年齢7から109まで諸説あり)も「私もアートの一部なので案内はできない」と言い残し、無言でどこかへ消え去った。
SNSも阿鼻叫喚だ。「#見えないアート見るな」といったタグが爆発的ブームとなり、感想のほとんどが「何も感じなかったけど、その“感じなさ”こそが深い」「普通は入口で靴を脱ぐのに、ここは入口そのものが見えなかった」など、哲学的とも錯乱的とも取れる投稿が続出している。某評論家、樋口謎夫氏(54)は「あまりに意識が拡散して、帰宅したら家族の顔も“作品”に見えはじめている」とコメントした。
なお、美術館側は来週から“見えないワークショップ”や“何も描かないライブペインティング”も定期開催予定。現在、館内で迷子になったまま生活し始めた来館者たちには、スタッフが目に見えない差し入れ(主に透明なごはん・無香性のカレー・無音の水など)を定期的に配達しているという。「この感覚を味わうために家を出る価値は十分すぎる」(来館中の会社員(27))との声もあり、今後の展開から目が離せない。
コメント
展示も出口もスタッフも見えないのはさすがにカオスすぎません?量子力学とか言いはじめたら何でもアリやん。
見えないアート館、行かなくても行った気になれるんだろうなぁ。私、今日からここが美術館ってことにします。
俺も行ったけど迷子になったフリってことで、今家のトイレから脱出ルート探してます。たぶん隣の透明なカレーと遭遇予定!
見えないアート=見せかけの社会。この美術館、世界政府の洗脳装置だと確信した。迷子誘導電波に注意せよ。
ついに“無”が実体となった。壁すら意識、館内すら宇宙。見えざる者よ、いざ迷子と化せ。