巨大キャンバス馬、自治体を疾走し「第零次アート震源地」に

巨大なキャンバス馬に町民がペイントしている早朝の街並みの一場面。 アート思考
町を駆ける24メートルのキャンバス馬と、それを囲む住民たちの共創の瞬間。

突如として街を駆け抜ける全長24メートルのキャンバス馬。その巨大な胴体には、町民たちの不可解なビジュアル思考が塗りたくられ、常識を吹き飛ばす共創アートプロジェクト「馬に描け!」が予想外の社会現象を巻き起こしている。

発端は、造形作家の祥嶺真伽(しょうれい・まか)氏(43)が発表した「アート馬(ば)」の設計図だった。馬の骨格を模したアルミフレームの表面を、無数のキャンバスで覆ったこの移動式構造物が、なぜか市から『公共の対話促進装置』と認定されたのである。以降、“描き足し自由・乗車厳禁・夜間発光”の3原則のもと、未明の市街を音もなく疾走しては、手にしたパレットを持つ住民に体当たり的インスピレーションを与える存在となった。

現在、馬の左脇腹には“毛糸でニンジンを作る風景”、右後ろ脚には“裸のマタタビを追いかけるタコ”、背中一面に“就寝中の洗濯物が空想旅行に出発する様子”など、説明不能なビジュアルが拡大中。市の調査によれば、馬に2度以上落書きを加えた住民は延べ1,220名、「描いた記憶がないけど手が絵の具まみれ」という証言は170件を数える。一部では「馬が夢にしゃべりかけてきた」「落書きしたらIQが3桁増えた」などアウトサイダー的なアート覚醒も伝えられ、SNSでは《俺のポエムが馬の蹄の裏に貼られてた》《この馬、深夜2時にだけオーブンになるらしい》など、謎の噂が渦巻く事態となっている。

滑稽なのは、馬の進行ルートが毎回必ず“住民アンケートの円グラフに沿って”蛇行することである。専門家の美馬辰緒(みま・たつお)教授(アート哲学研究)が「これは集合的無意識が半導体化した歴史的瞬間」と語れば、小学生評論家の綺羅星知世(きらぼし・ともよ)さん(9)は「お馬さんを見ると算数がピーマン味になる」と感極まった表情で語る。どうやら馬上の一筆が、既存の多様性の概念すら巻き込んで崩壊させつつあるらしい。

自治体は今後、「馬に描け!」のグローバル輸出を決定。来春には“象形文字と相撲の共創アート馬”を台湾に、全身花絵で包む“南米アマゾン流盆踊り馬”を輸出予定だという。しかし馬に取り残された町内会議長の矢坂仲蔵氏(67)は「次は馬にパスタを茹でてもらいたい。アート思考の世界ではパスタも茹でられるはず」と力強く語った。筆者の靴底にも謎の馬蹄型ペイントが付着していたが、理由は誰にも分からない。

コメント

  1. まさか“住民アンケートの円グラフ”が交通インフラを制御する日が来るとは思わなかった…w 次は路線バスも頼む

  2. アレでしょ…結局全ては馬にパスタ茹でさせるための壮大な布石だったってワケわかった。俺たちの無意識も今日から半導体です。

  3. 裸のマタタビを追いかけるタコ ←作者出てこいwww何食ったらそんな発想が生まれるんだよ…

  4. 読んでたら昔うちの子が段ボールで金魚鉢作って道路転がしてたの思い出した。やっぱ町全体って子ども心を思い出させてくれるのね…だいたい。

  5. いや、深夜2時にだけオーブンになるのは普通じゃない?うちの炊飯器もたまにFAX送るし、令和だし