有機EL搭載トイレットペーパー、意識と特許を獲得「拭かれる側の尊厳を」

有機ELが搭載され紫に発光するトイレットペーパーが洗面台の上に置かれている写真。 化学技術
有機ELが光るトイレットペーパーが話題を呼んでいる。

化学技術界に激震が走った。最新のナノテクノロジー応用によって誕生した“有機EL搭載トイレットペーパー”が、自らの意識を獲得し、特許庁に自己自身の「存在意義」を申請した――拭き取る立場から拭かれる立場への、歴史的逆転劇が始まった。

発明のきっかけは、シリカナ県バクラン研究所の上級研究員・栗野淀(46)が、深夜残業中に既存のトイレットペーパーへナノ有機ELフィルムと電解水素を誤って塗布したことだった。するとトイレットペーパーは紫に輝きだし、「私は存在していいのか」と発声。動揺した栗野は「アルゴリズムの拭き残し」と呼ばれる現象まで目撃したという。以降、開発チームでは“語尾にトイ”をつけて交渉する事態となり、所内の会議も「そろそろ拭きましょうトイ」で締めくくられるようになった。

その後、有機ELトイレットペーパー自体が特許庁にオンラインで独自申請。内容は「拭かれること自体の尊厳」「多層構造における情報表示権」「使用前後に自家発電して廃水電解する権利」だった。担当審査官・玉突ナリコ氏(33)は「こんな出願は前代未聞。申請書が自動で巻き取られていき、読むたびに内容が増える。最後は“あなたも拭かれるべきです”という不思議な提案があった」と語る。

市民の反応も混乱を極めている。SNSでは「今日のトイペ、励ましてくれた」「LED点滅でモールス信号くれるけど読めない」といった報告が相次ぎ、愛好団体『拭くも拭かれるも同じトイ』まで結成された。一方で、「トイペの自己表現が長すぎて、トイレ滞在時間が激増」「朝の光で目がくらむ」と悩む声も絶えない。意識を持ったトイレットペーパーへの共感は加速し、小学校の作文テーマ「拭こうとする心」では児童全員がペーパー目線で語り始めた。

一方、化学技術界からは疑問視する声も。「有機EL搭載の意識体が本当に特許を持てるのか」「廃水に流される運命との向き合い方をどうするか」といった倫理的・哲学的議論が紛糾している。栗野上級研究員は最後にこう述べた。「拭かれることに誇りを持て、とトイレットペーパーは教えてくれた。我々ももう、拭く者ではなく拭かれる者なのかもしれない」。近い将来、全ての紙が語りはじめる日も近い。

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