今年、全国の食卓に静かな衝撃をもたらしているのが「自律曲がりスプーン」である。従来のカトラリーと一線を画すこのスプーンは、手を使わずとも使用者の意図を“感知した気になり”、無断で好きな方向に曲がり始める独自仕様が特徴だ。初夏より爆発的普及を見せる中、ある地方都市“柳本市”では本製品を用い“4次元ライフスタイル”への転換が急激に進んでいるという。
発端となったのは柳本市在住のパーソナルタイムデザイナー・昆布谷シズエ(48)。「スプーンが急に北東方向に曲がったせいで、パンケーキ生地が隣の窓枠に落下。その瞬間、外の夕焼けとキッチンタイマーの6時を同時認識できた」と話す。以降、自宅の食卓では朝・昼・晩、さらには“水曜日と10年後”さえ一口で体感する奇現象が常態化。市内には「昨日の卵焼き」「来週の味噌汁」と銘打つ新メニューが誕生し、連日混雑が続いている。
需要の高まりを受け、柳本市時間管理協会は“多次元食事環境整備指針”を公式発表。『一度に複数の人間関係と食事を済ませる』を合言葉に、市役所の昼休みでは部署間の境界も“じわじわズレて”消滅。営業の亀岡ユズル(36)は「弁当を広げたとたん部署が三つ同時進行、上司から未来の説教と過去の労いを同時受信した。昼食後の疲労感は2倍だが、達成感は捉えどころがない」と困惑する。
ライフスタイル分野のアウトドアフィットネス講師・サラダ牛渕(41)は、本スプーンによる健康効果について「筋肉は鍛えられませんが、時間軸方向へのストレッチが期待できる」と解説。実際、一部の市民は“来世のBMI”を気にし始め、低重力サラダと名付けた謎メニューが続々登場。また、市が導入した“明日トレイル”では昼休み中に“半年先のマラソン完走証”を受け取る等、次元を超えたセルフケア実践がブームとなっている。
SNS上では『スプーンで昨日の自分と食事会』『デザートが来年に届いた』など体験談が続出。専門家筋でも賛否が分かれており、持続可能性心理学者・円谷夜ノ森(59)は「一見効率的だが、“同時に三食分太るリスク”や“明日の分の洗い物が消えない現象”には注意が必要」と指摘する。いずれにせよ、自律曲がりスプーン発の4次元ライフ――我々はまだ、その全貌を食べ尽くしていない。
コメント
昨日の卵焼きはまだしも、来世のBMI気にする市民強すぎw 柳本市だけ時間の概念バグってて草生えるんだが。
スプーンが意図を“感知した気になり”って、一番信用ならないやつじゃないか。洗い物普通に残るなら意味なさそう…
明日トレイルで半年先のマラソン完走証もらった人、来週ちゃんと走るんだろうか?来週の味噌汁で水分補給して…って、考えたらますます混乱w
やはり…。4次元食の普及はMT23条会議で予言されていた。次はフォークが時空を裂くぞ、備えよ。
なるほどね、朝食と夕焼けを同時に味わえば、時間の節約になるのかぁ。効率化の最終形態だわこれは…(遠い目)