全国各地で開催されるコスプレイベントに、誰も被っていないはずの“逃走ウィッグ”が突然現れて舞台裏とSNSを席巻している。青緑色のロングウィッグ(推定重量7kg)は、ありとあらゆる推しキャラの髪型に一瞬で変化し、所有者が名乗り出る間もなくイベント会場をさまよい続けているとして、コスプレイヤーや運営陣の間で大混乱を招いている。
コスプレ愛好家の谷川トリコ(会社員・27)はこう語る。「大阪のイベントで、突然ステージにウィッグだけが歩いて登場したんです。しかも勝手に推しキャラ『蒼乃レム』の髪型になってて、観客全員が一斉に“私の推し!”って立ち上がってスマホを向けてました」。この現象に目をつけたSNSユーザーの間では、「#逃走ウィッグチャレンジ」が急拡散。自宅から持ち物ゼロで参加し、“逃走ウィッグ”に頭を差し込めた人だけがその日の推しキャラになれるルールが自然発生的に生まれた。なお、同時多発的に8カ所の会場で目撃情報が上がっており、同一物体なのか、複製されたのか、謎は深まるばかりだ。
イベント運営側は対策に追われている。大規模コスプレ祭りを主催する日本コスプレ統一連盟の主任・川渕ノア(35)は「ウィッグがしゃべる、斜めにジャンプする、物理演算を無視した速度で消える、など報告が相次いでおります。現在、専門家チームにより『ウィッグ意思疎通マニュアル』を緊急編纂中ですが、途中でウィッグに“文句があるなら被れ”と罵倒され、会議が紛糾しています」とコメントする。
ウィッグアレンジ界隈からは賛否両論だ。超絶技巧のウィッグアーティスト・宵森アルジロ(42)は「自分は徹夜で1本1本毛束を植える派です。逃走ウィッグは仕事を奪う脅威。だが、フリースタイルシャンプーをかけるとかなり喜ぶという噂があるので要検証」と困惑を隠さない。一方、即席コスプレ愛好家の主婦・今田ももか(39)は「こうなったらウィッグに愛と念を込めて新しい推しキャラを生やしてみせます。植物として育ててみたい」と意欲をみせた。
いまや“逃走ウィッグ”の居場所は、X(旧Twitter)上の目撃情報、レーダー探知アプリ“WIGird”で追跡される時代。非常用にカツラ接着剤やバナナ(なぜか好物らしい)を携帯するコスプレイヤーが増えている。専門家筋は「このウィッグ現象が沈静化するには、全国民が同時に『誰も推しキャラなんて存在しない』と唱和する必要がある」と沈痛な面持ちを示しつつも、「たぶん、それは無理でしょう」と付け加えた。
一体、逃走ウィッグの正体は誰なのか、あるいは“何”なのか。推しキャラになる覚悟とウィッグ捕獲網を両手に、全国のコスプレイヤーたちの戦いはまだ終わらない。
コメント
待って、ウィッグに人格芽生えてるの最高すぎるw イベント荒らしじゃなくて“盛り上げ隊長”だろこれ!#推し自走化時代
ウィッグが会話してる時点で色々おかしいけど、なぜバナナが好物なのかだけ論理的説明を求めたい。誰か物理法則思い出して。
あ、じゃあ今から頭差し込んでくるw全国ワープある?推しの力で時空超えるしかない(^^)/
うん、まあ、ウィッグが斜めにジャンプする時代もそろそろ来ると思ってた。正常運転。
私のウィッグも逃げ出さないように、今夜は特製たまごシャンプーでご機嫌取っておこう…(ガチ)