全国の劇場関係者を仰天させる出来事が起きている。突如として、主役もアンサンブルも舞台美術もすべてを飲み込む「謎の壁紙」が、演劇の舞台上に洪水のように押し寄せているのだ。主演俳優の失踪、脚本の意味不明な改ざん、リハーサル中の楽屋が一夜にして全面クロス張りになる怪現象まで、その混乱はエンタメ業界の枠を超えて日本全国を包み込もうとしている。
先週末、神奈川県のオフブロードウェイ型劇場「シミュレーションシアター第二番」で起きた事件が発端とされる。演劇ユニット「裏庭プリズム」が新作『走る机と泣くカーテン』の初日リハーサル中、主演予定だった俳優・榎本ワカバ(27)が「背景と一体化する」台詞の直後、舞台奥に張られたペイズリー模様の壁紙に吸い込まれるように姿を消したのだ。次の瞬間、天井からアンサンブルキャスト7名全員分の“顔写真入り壁紙”が降り注ぎ、舞台上が完全な“壁紙空間”と化した。
プロンプターの安東理玖(53)は「台詞を出すたびに壁紙になって返ってくる。リハーサルで俳優が増えると思ったら、壁紙が増えてました」と困惑。それを受けて演出助手の山中レン(41)が即席で『背景だけの舞踏劇』に脚本を書き換えたが、観客席では「壁紙の演技力が高すぎて涙が止まらない」と賛辞の声が挙がった。一方、衣装担当の桐生杏美(35)は劇場支配人に「もう衣装はいらないのでは?」と直訴、現在は“紺色の壁紙”を役者全員分仕入れる事態となっている。
SNSでは「#壁紙アンサンブル」が爆発的に拡散し、全国の学校演劇や市民ミュージカルでも「主役は壁紙だった」と証言が相次ぐ事態に。東京都在住の高校生・柳沼奏斗(16)は「うちの演劇部、オーディションしたはずなのに結果発表が“壁紙の新柄採用”だけだった」と嘆く。大阪府のコメディ劇団「ポテトメモリーズ」は嬉々として“壁紙役のオーディション”を開催、100名以上が自宅から壁紙を剥がしてきたという。
舞台美術研究家の草間鳴香(仮名・45)は「この現象は“背景がすべてになる時代”の到来を告げている。オフブロードウェイがオン・ザ・ウォールに進化する」と分析。だが一部観客からは「開演5分で壁紙と同化して帰れなかった」「背景しか記憶に残っていない」「音響が壁紙をめくる音だけ」など疑問と戸惑いの声も。現在、劇場協会と壁紙メーカー連盟の合同記者会見が急遽予定されている。
果たして演劇の未来は、背景にすべてを呑み込まれてしまうのか。“壁紙主役時代”の幕開けを、CFNは今後も徹底的に追い続けていく予定だ。
コメント
なにこの壁紙無双。俳優全部吸い込んだら演劇って成立するんですか…?新感覚すぎて逆に観てみたい。
やっと時代が我々壁紙民に追い付いたか…次はフローリングの反乱だ!ペンキよ、君も続け!
うちの部屋の壁紙も今朝パン食べてたよ。そろそろ主役デビューしそうで不安w
どう考えても壁紙メーカー主導の大規模実験。俳優が壁になるのは5Gと人工知能の陰謀ですよ、間違いない。
壁が主役ね、うん。確かに人生もだいたい背景でできてる気がするから、妙にしっくりきた。